正統派ゴシックファッションはゴシック小説に於ける登場人物のスタイルが参考とされ、女性ならばコルセットにロングドレス、男性ならばクラシックなスーツスタイルにロングブーツなどを身に付けます。
ゴシック小説は18世紀末のイギリスで発祥し、欧米諸国に広まりました。ゴシックは中世の建築様式ですので、中世の服装が参考になっていると思われがちですが、ゴシックファッションの場合は小説の登場人物である西洋の近代貴族の服装が原型となります。ゴシックファッションのイメージは、ゴシック小説や墓場派と呼ばれる文学作品、ゴシック映画から着想を得た物です。
「ゴシック小説」:中世ヨーロッパのゴシック建築の廃墟を主な舞台とする、神秘・幻想的冒険譚がゴシック小説と呼ばれています。モチーフとなるのは古い城や館、怪奇現象や宿命などであり、代表には「フランケンシュタイン」「ジキル博士とハイド氏」「ドラキュラ」があります。また、「オペラ座の怪人」や「アッシャー家の崩壊」などもゴシック小説に分類されます。
「墓場派」:18世紀イングランドに於ける詩人の一派で、墓場をテーマとして死への憂鬱、神秘的な感覚を表現する詩を編みました。ゴシック小説の先駆けと言われ、骸骨や棺、蠕虫(ミミズなどうごめいて移動する虫)、墓碑銘(故人を記念する銘文で墓石に刻まれる)など墓場にまつわるモチーフが特徴とされます。
「シンボル」:吸血鬼や魔女、悪魔など背徳的なキャラクター、それにまつわる血、目玉、蜘蛛、蝙蝠。また、聖なるシンボルである十字架、薔薇、天使なども日本に於いては逆説的に用いられる。
現在に於いては正統派ゴシックファッションの愛好家は少数派となり、欧米ではゴシックロック、日本ではV系音楽バンドなどのファッションが主流となっています。ゴシック服専門のブランドやショップも増え、高クオリティでデザイン性の高いゴシック服は二次流通でも人気があります。ゴシック服は一般的な古着やブランドの洋服とは一線を画す特殊なジャンルに属しますので、知識が無い一般的なショップではその価値を見定める事が出来ません。もし、皆様が大切にしてきたゴシック服を手放さなければならないときは、ゴシック服のブランドに詳しい買取り専門店で査定してもらう事をお勧めします。